対本 宗訓 氏

臨床研修医・元臨済宗佛通寺派管長  2008.04.12

僧医としての生き方

対本宗訓(つしもと・そうくん)

 1954年愛媛県生まれ。
 1979年京都大学文学部哲学科卒業後、京都・嵯峨の天龍寺僧堂にて修行。天龍寺派管長平田精耕老師に嗣法。
 1993年臨済宗佛通寺派管長
     同僧堂師家就任。
 2000年4月帝京大学医学部医学科入学。
 同年11月佛通寺派管長・師家辞任。
 2006年帝京大学医学部卒業。第100回医師国家試験合格。

 現在、臨床研修医として勉学・研鑽中。著書に『坐禅〈いま・ここ・自分〉を生きる』、『禅僧が医師をめざす理由』(いずれも春  秋社)がある。





講演レポート
僧医としての生き方
臨床研修医・元臨済宗佛通寺派管長
対本 宗訓 氏
ご意見  【講師・参加者】
講師のコメント (対本宗訓)
現代のサンガ
僧医 対本宗訓
 2008年4月、”ねっと99夢フォーラム”にお招きいただきお話させていただきました。
 木の香もかぐわしい木造のホール。くつろいだ雰囲気の百人の参加者。講演に聴き入る真摯なまなざしと快活な笑顔がたいへん印象的でした。
 仏教では共に学び合う仲間のことを「サンガ」といいますが、野老社長の理念とスタッフの方々の思いとが一つに行きわたったこのフォーラムこそ、まさに現代のサンガなのではないかと感じ入りました。
講演会の感想
「僧医 という言葉」  個人として参加していること
東金市の隣町、大網白里町で
ねっと99夢フォーラム
が開催されています。
詳しくはこちら
本日は「僧医としての生き方」というテーマで、
臨床研修医でもあり、
元臨済宗佛通寺派管長(つまり、お坊さんですね)でもある
対本宗訓(つしもと そうくん)氏のお話を聞きました。
私自身、クリスチャンですので、
宗教と医療両方がテーマになっている講演会は
「絶対、聞きたい!!」と楽しみにしていました。
お話は本当に興味深く、
お寺の長男として生まれたご本人が
僧侶として精進され、
40代半ばで医学を学ぶために医学部に入学され、
今は研修医として患者さんの診療や看取りをされています。
この今までの歩みを伺うだけでも、
沢山の励ましをいただきました。
また、
研修を始めたばかりのころは
臨終が間近い患者さんを
「この方は、もう旅立とうとしておられる」
と直感的に分かったのに、
医師としての研修を重ねていくうちに
その直感がだんだんと失われていくといったお話
「人は、一つ何かを得ると、何かを一つ、失うものなのかもしれません」
という言葉がとても印象に残りました。
ついつい、あれもほしい、これもほしいと
物質的な面だけでなく
人間関係や他からの評価など
欲張ってしまう自分ですが、
やはり、一人ひとりが保つことの出来る「分」というものが
それぞれ決まっているのかもしれない。
そうであるならば、私は何を持ってこれからの人生を生きて行ったらいいのか?
等と考えてしまいました。
講演会が終わった後の懇談の場で
老いるということは
肉体的な衰えだけを見るとマイナスだけれど、
精神的な円熟という「敬称」として「老」という言葉を使う、
というお話を聞きました。
若いうちは肉体的にもエネルギーがあり、意識は自分の外に向かう。
そして年をとると共に自分の内面にと意識が向かうようになる。
そのようなお話を聞きました。
そうすると、
人生の途中で病気になって、一時的に自分を見つめる機会を得ることも
一つの大切なプロセスなのだろうか?
とも思えます。
・・・・禅問答のように、次々と自分の中から「問い」が生まれてくるひと時でした。
        (NPO法人地域医療を育てる会のブログより)
参加者のアンケートより
アンケート回収数  40枚
とてもよかった 23人  よかった 16人  まあまあ 1人 合計  40人
◎「生と死」とか「命」とかを考えるセミナーかと思い参加しましたが、「自分の生き方」を考えている自分に気がつきました。
◎セミナーを通して、知らない世界が開けました。
◎僧侶として、医師として、命を見つめる複数の視点を持つことの豊かさを感じました。
◎通常の経歴でない道程を歩まれた方の言葉に秘めたパワーを感じました。
◎「ケア」に関する先生の話を聞き、今まで力が入りすぎていた自分に気が付き、少し楽になりました。これからもがんばろうという思いが湧いてきました。
◎「寄り添う」だけでいいという言葉がとても印象に残りました。
◎現在進行形の体験談でありとても興味深かったです。
◎僧侶の目で若者に向かい合うことの重要性がよくわかりました。
◎老母に対する今後の接し方の思いが固まりました。
◎死についての考え方についてとても参考になり共感できました。
◎「寄り添う」ということを自分もこれからしていきたいと考えました。
◎先生の僧医としての今後が楽しみです。