長阿彌 幹生 氏

教育文化研究所代表
不登校サポートネット代表

 世界が“なかよし”な関係で結ばれたら、紛争も戦争も無くなります。貧困も格差も無くなります。そう思って“なかよし”の研究を真面目に取り組んでいる研究所が福岡にあります。「教育文化研究所」といい、家庭や学校、職場、地域の心豊かな人間関係を考える①お父さん研究会、②親子関係研究会、③職場研究会、④不登校研究会、⑤なかよし研究会――等を年間120回以上開催し、“なかよし社会”の実現を目指しています。
 代表の長阿彌幹生氏は、妻の病気や娘たちの不登校と向き合うために、猛烈ビジネスマンから“主夫”へ人生の舵を切りました。家族と向き合う中で、どうしてこうなったのか、自分の何が悪かったのか、これまでの生き方を見直すことになりました。
 その結果、競争社会の中で勝ち組になるために、より上位になるためにと他人を押しのけてでも自分の都合を押し通そうとする自分の姿に気が付いたのです。家庭でも、会社でも対立や反目を繰り返す原因がそういう自分の生き方にあることに気が付きました。では、どうしたら人と仲良く助け合い、共に生きていくことができるのか?それを多くの人と暮らしの中で実際に生起する事柄を見つめながら考え続けています。
 今回は、“なかよし”について、長阿彌氏とともに考え、気付き合う場としたいと思います。

長阿彌幹生(ちょうあみ・みきお)氏の略歴
1949年、福岡県北九州市生まれ。同志社大学経済学部卒業後、大手流通企業で商品開発、販売企画、新規プロジェクト等担当。1996年、長女の不登校で「お父さん研究会」結成。1998年、夫人の病気介護で会社退職。2000年、“なかよし”な人間関係の研究機関「教育文化研究所」設立。2003年、「子どもNPOセンター福岡」設立。2004年から北欧先進諸国の事例を広く紹介し、日本を「住み良い社会」にしていく活動を展開。2008年からは「幸福度世界一の国デンマーク」との交流事業開始。教育文化研究所主催のお父さん研究会、こども研究会、職場研究会やシンポジウム等を年間120回以上開催し、多くの参加者と、明るい社会=なかよし社会づくりを進めている。













講師のコメント

「自分は怪しい」と思うことが大切!

教育文化研究所 代表 長阿彌幹生

 インターネットで調べて頂き、ねっと99夢フォーラムの46回目の講師にお招き頂き大変嬉しく思っています。「“なかよし”な人間関係で明るい社会づくり」というテーマをコミュニケーションという切り口でお話しさせて頂きました。

 “なかよし”は誰の中にもあり、その発露を邪魔しているのが「自分は正しい」と思いたがる自分の脳の癖であることを、具体的な事例を紹介しながら講演をしました。そういう癖を自分は持っているという自覚が、“なかよし”な人間関係において大切だということを。検べれば検べるほどに、自分の怪しさが明らかになっていきます。「自分の正しさはこの程度だ」ということ、もっと言うならば「自分は怪しい」のではないかとさえ思えます。

 そのような自分だからこそ、率直に自分の意見を述べ、相手の意見に謙虚に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。胸襟を開いて、「あなたの意見を聴かせて欲しい」と言ってみることで、気持ちも通い合う間柄に成り合っていくように思えます。

 私の拙い話が皆さまの暮らしにとって何かしらお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。また、お会いできるのを楽しみにしています。

 野老様や土屋様はじめフォーラム事務局の皆さまにはお世話になりました。

 改めて御礼申し上げます。

参加者の声

素晴らしきかな“なかよし”人生 

千葉県浦安市 渡辺明雄

 今回、世話人の土屋さんよりの紹介で『ネット99夢フォーラム』に初めて参加させて頂きました。講師の先生は、“なかよし”の研究を真面目に研究されている方と伺い、正直なところ興味半分、勘ぐり半分という気持ちでの参加です。講演が始まると長阿彌先生は、飄々とした雰囲気で話され、その軽快なトークとユーモアに思わず笑ってしまいました。しかしその内容は、ご自身が猛烈ビジネスマンとして東奔西走されている間に、三人の娘さんが不登校、奥さんはうつ病に、という壮絶なものでした。笑顔でお話される姿とのギャップに、私は次第に戸惑いを覚え、講演の行末を案じ始めていました。何故ならば通常の講演であれば、私は「こんな苦難があり」というくだりを重苦しく語り始め、「こうして」→「こう考え」と徐々に明るくなり、「こうなった」でめでたしめでたし、有り難い成功話を拝聴し、私も明日から頑張らねば....!有難うございました。お疲れ様です。が常道のはず、でもこの人は何かが違う。

 カウンセラーから「お父さん貴方が悪い」。と言われ憤慨し、愚痴を話した友人からは「それなら子供を一人くれ、家なら必ず幸せになる! なぜなら家は子供が居ないから無条件で、その子が居てくれるだけでいいから」と言われ戸惑う。今まで正しいと思って来た事が悉く崩壊して行く中で、自分の中の「正しいという決めつけ」が、どれだけ人を受け入れる妨げに成っていたかに気づき始め、その気づきを出発点にお父さん同士が語り学び合える『お父さん研究会』を初め、様々な人と様々な“なかよし”を学ぶ機会を作って行かれます。ご自身としては、未だに憤慨する自分と向き合い、その原因となる自分の中での『決めつけ』を省みる練習をしているそうです。そうする事で、自分はまだ足りない人間と自覚し、自分の意見を言うと同時に人の意見も素直に聞く事が出来、新しい発見、更には新しい価値の創造へと発展させて行ける。その為の練習の繰り返し。先生の部屋には正しいと言う決めつけを取りはらう為、今でも『自分は怪しい』と大きく書かれた貼り紙があるそうです。詳しい内容は、私の拙い文章では伝えきれませんので是非、長阿彌先生の著書「なかよし読本」やホームページ等でご確認下さい。(私は先生が事例として話された、作った料理を「不味い」と言った子供に「もう食べなくていい!」と怒った、料理の腕前がそこそこだと思っているお母さん(額に怒りマーク)と、「どの様に不味いの?」と聞く料理が下手だと思っているお母さん(額に?マーク)の話で“なかよし”に成れるヒントがよく分かり、その後多くの知人に語り聞かせています。)

 講演が終わり掛けるにつれ、初めに「なにかが違う」と感じた理由がはっきりとして来ました。それは長阿彌先生が、こういう苦労の末「こうなった」と言う一人の人間としての成功話などを遥かに超越し、人が人として存在する意義、人が生きる目的をも悟ろうとしている。おそらく先生にはその光輝くモノが見え始め、その方向に一歩ずつ近づいている。そして全ての人の人生の中にもその光への道が有り、先生はその気づきを待っている。そんなポジションからのお話だからだと思います。

 当初抱いた私の『下衆の勘ぐり』は木端微塵に砕け散り、心の中のもやもやが晴れた貴重なお話でした。『長阿彌幹生』と言う素晴らしい方と出会える切っ掛けを作って頂いた土屋さん初め野老さん及び関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
最後に、偶然ご一緒させて頂いた帰りの電車の中で、先生から伺ったお話をご紹介して終わりに致します。

 「“なかよし”になれる秘訣は、人と話している時や、本を読んでいる時などに出てくる、これは正しい、これは間違っていると仕分けする『心の中の物差し』を無くすこと」。
「辛いことのみ多い世の中だが、その中で偶然出会えた人から受ける喜びや感動。そしてこれからもそんな出会いが有ると思えるからこそ人生は楽しい」。

 私の心に残ったお言葉ですが、多少アルコールが入り、余計怪しくなった私の耳と脳が自分の中の物差しで、都合よく間違えていたとしたらお許しください。

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