結城 登美雄 氏

民俗研究家、宮城教育大学・東北大学大学院非常勤講師

 結城登美雄著『地元学からの出発 この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける』(農文協)の「まえがき」には、次のような文章がある。
「いたずらに格差を嘆き、都市とくらべて『ないものねだり』の愚痴をこぼすより、この土地を楽しく生きるための『あるもの探し』。それを私はひそかに『地元学』と呼んでいるのだが、要はこれからの家族の生き方、暮らし方、そして地域のありようを、この土地を生きてきた人びとから学びたいのである。性急に経済による解決を求める人間には、ここには何もないと見えてしまうだろうが、自然とともに我が地域を楽しく暮らそうとする地元の人びとの目には、資源は限りなく豊かに広がっているはずである」
 父祖の代からの営みを続け、豊かなふるさとの自然環境を守り、美しい景観を維持してきた日本の米作りも、国の農業政策の転換で、右往左往を余儀なくされています。東北の鳴子温泉地域でも、米作農家が消える危機的状況でした。そんなとき、大農家や小農家など同じ地域に暮らす人たちが、小さな利益にとらわれず、立場を超えて、つながることを大切にしながら「鳴子の米プロジェクト」に結集しました。
 その総合プロデューサーは、「地元学」の提唱者、鳴子の地域づくりを以前から指導していた民俗研究家の結城登美雄氏です。「米の地元学」に耳を傾けてみませんか?

1945年中国東北部(旧満州)生まれ。山形大学人文学部卒業。
仙台で広告会社経営に携わった後、東北各地を10年以上歩きながら、住民を主体にした地域づくりの手法「地元学」を提唱し、「食の文化祭」など地域づくりを行う。1998年「NHK東北ふるさと賞」、2005年「芸術選奨芸術振興部門文部科学大臣賞」を受賞。著書『山に暮らす 海に生きる 東北むら紀行』(無明舎出版)、『東北を歩く 小さな村の希望を旅する』(新宿書房)、『地元学からの出発 この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける』(農文協)等多数。宮城教育大学・東北大学大学院の非常勤講師を現任。






  • ボランティア団体によるプレゼン








町長あいさつ

  • 講演の様子













参加者の声

「食べる力」と「作る力」の融合が大事と知る

山武郡在住 齊藤 隆


 10月10日、大網白里町で行われた「ねっと99夢フォーラム」に参加してきました。
 今回は、地産地消で地域の再生「鳴子の米プロジェクト」に学べと題して、民族研究家で、宮城県教育大学・東北大学大学院非常勤講師の結城登美雄氏の講演でした。

 この中で「地域で支え合う食と農」C・S・A(Community Supported Agriculture)が大事であると、力説されていました。
 農家の定義がそれぞれ解釈によって違うと思いますが、結城氏は日本人の98%が消費者である現実を考えれば、「私に代わって大切な食べ物を作ってくれる人」と置き換えて考えるべきであり、その農家の暮らしは他の産業に従事している人よりも遙かに厳しいと知るべきであると訴えていました。

 これを沖縄では良くは「ぬちぐすい」、ぬちとは命、ぐすいとは薬の事で、食べ物は命の薬であり、感謝をしている。
 しかし、最近の風潮は食べ物に対して大事、大切という考えが無くなってしまっている。
 食べ物と同時に自然や人に対しても、尊敬や大切という感覚が無くなってしまい、様々な事件や信じられないような事が起きている。
 昔の言葉に
 水を汚すなお前が苦しむぞ
 土を汚すなお前が死ぬぞ
 水を粗末にするな神様のバチがあたるぞ
 という言葉を紹介していました。

 また、食は最大の社会資本であり、「国家にとってあらゆる必要なものの中で、最初にして最大のものは生命と存在のための食料の供給である。」というソクラテスの言葉を引用して、ただ空腹を満たせば良いというものではなく、その背景には、国の統治としての食料とそれを支える農地の整備(国家の基盤整備)が必要だが、今の日本国民は海外からの安い農産物を重視し、国内の生産力が落ちている事・将来の食料不安を見ようとはしていない、と警鐘を鳴らしていました。

 「地球人口の増加や食糧戦略などにより、近い将来、輸入出来ない時代が来る」と。

 そんな中、地域の荒れ果てた田畑をよみがえらせ、農業を持続可能な産業にしようという試みから「鳴子の米プロジェクト」が始まったそうです。
 身近に農地があると言うことがどれだけ大事でありがたいかを、消費者にも生産者にも説いて回ったそうです。
 5年計画で始まった「鳴子の米プロジェクト」でしたが、第1期が終わり、今年から第2期目が始まったそうです。
 これを成功させるには「食べる力」を貸して欲しい。
 そして「食べる力」と「作る力」を融合させたい。と話しをまとめられていました。

 話しに引き込まれてしまう場面も多く、また意見交換の時間もいろいろと活発な意見が出て、予定されていた2時間を大きくオーバーして有意義な講演会でした。

             ~ブログ「さいとうたかしさんのページ」より~

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